NHK教育・ETV50周年「巨匠たちのコトバ」 

 立花隆さんから矢口真理までというゲスト選びが秀逸。糸井重里さんと立花さんのツーショットも新鮮だし、爆笑問題の太田が、立花さんの著書を読破しているのも意外だった。番組中に放送されたコトバを、その怖さ度合いで分けてピンナップしてみる。どれも、よく切れるナイフの刃先みたいだけど。


「私にとって最大の危機は、
私の心です。生きている限り、
人間の心は何を企むの
かわからない。

 人間は外から来る危機、たとえばイン
フレや地震については対処できるが、心の内
側からやってくる危機には手のつけようがない」(開高健・作家)


「自分が最低だと思って


いればいいのよ。そし


たら、みんなの言って


ることが、ちゃんと頭に


入ってくる。てめぇが


一番バカだと思っていれば、ね」

赤塚不二夫・漫画家)


 霞ヶ関駅サリン散布事件時に現場にいて、応急手当を受けている人たちを尻目に、とくにパニック状態になることもなく、平然と近隣の官庁や会社に向かう人たちを見たときに、
「オウム教信者も、

会社員や公務員たちも、

それぞれが、それぞれ

にただ忠実だったんじ

ゃないか、と思ったんですよ」(辺見庸・作家)


 赤塚さんと辺見さんのコトバは、甲乙つけがたい。
 だが、そのコトバを自分のものとする難易度で考えれば、赤塚さんの方が断然、怖い。