中目黒「サルバトーレ」〜ひさびさのピッツアと古本屋

rosa412009-01-14


 
 編集者のN君と打ち合わせランチで、中目黒「サルバトーレ」へ。およそ2年ぶりぐらいか。ピッツアは、トマトとモッツアレラとソーセージを選ぶ。少し薄めの、適度な塩加減の生地が、やっぱりうまい。


 打ち合わせ後、一人で中目黒川沿いを散策。去年末の反省をふまえ、今年は寄り道を楽しみたい。ひさしぶりにcowbooksに入る。ミルクティー片手に、そこはかとなくピアノの独奏が流れる中、内田百間の古本『大貧帳』を読みかじる。去年、黒沢明監督の遺作『まあだだよ』を観たから。


 戦中の質屋通いを淡々と描いているが、上手い。一見何気ないようでいて、絶妙なコントロ―ル投手の配球を思わせる。映画で観た彼自身の軽妙洒脱さより、文章はもっと堅牢。そのくせ、行間からゆるいユーモアや、じんわりした哀愁が染み出てくる。また、あの百間にしてこの貧乏ぶりかと、少しホッとしたり。
 新年早々、なかなかの寄り道だった。冬の高い青空に映える、川沿いの裸ん坊の桜並木。その枝ぶりの行列が音楽的できれい。


大貧帳―内田百けん集成〈5〉   ちくま文庫

大貧帳―内田百けん集成〈5〉 ちくま文庫