2人のランナー(2)


 高尾山の18キロトレイルで、荷物を預けるために列に並んでいるとき、ふと後ろを振り向くと、ランニングシャツに雨用のビニールカッパを着た50歳前後の男性がいた。
 ぼくがうっかり忘れてきたせいもあって、思わず、準備万端ですねぇと話しかけた。少し雑談していると、娘さんの受験の願掛けをかねてマラソン挑戦を決めて、昨年から走り始めたという。
 

 見るからに子煩悩そうな雰囲気と、そのエピソードがとても似合っていた。娘さんも無事志望校に合格し、彼も初マラソンを完走したという。しかも、30キロ以降もとくに減速しなかったというからうらやましい。今月の筑波マラソンにエントリーしているらしく、その準備もかねて高尾山トレイル出場を決めたらしい。


 しかも毎月200キロは走っているという。すごい!単純計算で毎週50キロ走らないといけないわけで、ぼくはまだ走ったことがない。いわゆる娘の受験をきっかけに、すっかりハマっているということだ。先の広島のタクシー運転手の方といい、走りはじめる理由は人それぞれ。


 別に走ることでなくても、何だっていい。2人とも自分がやりたいことがあり、それによって充実感を得られて、元気でいられているということが自然と表情や言動に出ている。