「ひとつ前から」という視点(肩甲骨から動かす)

 これだな!と体感した。
 都内の某公園の坂道を走り下りながら、あごを引き、上体を前傾させて両肘ではなく、両肩甲骨を大きく振ることで腰が入る。すると両足の裏がきちんと地面を踏みしめている感触があった。参拝客の狭間を縫うように走っている最中のこと。


 数カ月前、元五輪代表の宇佐美彰郎さんが、ランニング雑誌で「親指と小指のさらにその先(指の先、という意味)をきちんと踏みしめるイメージで走る」とコメントしていたのは、これだと確信した。上体のフォームを固めることで、下半身の理想的な体重移動ができる。しかも、走り自体はよりダイナミックになる。頭ではわかるけれど、実感としてなかなかつかめないでいた。


 それは年末に買ったコア・トレーニング本の指摘とも重なる。
 肘から動かすのではなく、肘の先の肩甲骨から動かす意識をもつことで、よりダイナミックでスムーズな動きができる。コア理論では「モビリティ(可動性。筋肉の柔軟性を高めて、関節の可動域を広げること)」。
 腕を大きく振るには「肘」ではなく「肩甲骨」、着地をより安定させるためには「下半身」ではなく「上半身」。それぞれ「ひとつ前」という視点をもつことでより本質に近づける、とも読みかえられる。