積極的休養の副産物

 あれれっ。休憩時間をへて泳ぎ始めたら、自分のイメージ以上に水面をすううっと滑るように進んだ。両手をまっすぐ伸ばして顔を水面に潜らせるとき、顔を水面より35度から40度下げる程度で平泳ぎをはじめたときだった。なにより泳ぎが軽い。そのときはじめて、自分が頭を水面下に潜らせようとしすぎていたことに気づかされた。


 昨日の3時間走で硬くなった筋肉をほぐすためのプール練習だった。300、400mの泳ぎと水中ウォーキングを1セットにして、3セットほど反復する。泳いでひと汗かくと、ウォーキング時にそれまで張りを感じていたお尻あたりの筋肉がほぐれてくるのを実感できる。重力から解放されたプール内で筋肉を動かして血流を活発にし、身体にたまった乳酸を排出するためのエクササイズ。いわゆる積極的休養だ。


 平泳ぎがすっかり軽くなったので、その調子でクロールも泳いでみる。掻き手をあまり深くせず、身体のまわりの水をつかんで押し出すイメージでやってみると、割とスイスイと進んだ。身体の力みがなくなり、小さな力で、よりすべらかに進むことがうれしい。
 コツコツと何かに取り組むことでふいにもたらされる、ささやかな洗練の手応え。神様のごほうび、という言葉が思い浮かんだ。。
 自宅にもどって、奥さんに軽くマッサージしてもらうと、昨日の3時間走後にかなり張っていた背中の筋(すじ)も、かなりゆるんでいた。