畔(あぜ)づくり三昧

 雨が降った後の土は重たい。この事実を体感として知っている人はそう多くない。畔づくりをすると、その重さがさらに痛感できる。シャベルで粘度状の土をすくい取り、畔に積み上げる作業がかなり腰にくる。


 翌日の腰痛を防ぐには、時おりシャベルを持ち替え、両方の腰がある程度均等に疲れるようにする必要がある。しかも、田んぼ内側は雨でぬかるんでいるので、足元も悪く沈みがちだから、なおさら作業は厄介になる。しだいに顔から汗が滴り落ちる。


 男5人と10歳の少年の6人で、朝から夕方まで手分けして畔作り作業。まず、泥土を畔に積み上げ、それを足でゆっくりと踏み固めた後、その両側を足で踏み固めてから、シャベルの裏で叩いて再度固める。この畔を高く、固くしておかないと、田植え時に田んぼの水がうまく溜らず、苗が干上がってしまう。


「こんな一銭にもならねぇことを、いい歳してやってる奴らなんて、子供っぽいに決まってるじゃねぇーか」
 50代のカメラマンが、そんな名言を口にした。そう、子供っぽい奴らが国民の祝日にわざわざ千葉くんだりまで出かけて、そんなことに汗をかいているからこそ、仲良くもなれる。
 お金がからむと働くことは妬みやら恨みやら、あれこれ面倒くさくなりがちだが、一銭にもならない土方作業だからこそ、たいした話はしなくとも、とても深くつながることができたりする。働くこととお金の関係はけっこうデリケート。