大の字のあおぞら

  きれいに冬枯れした皇居外苑の芝生に汗まみれの身体でごろんと転がり、大の字になる。夕方前の少しくすんだあおぞらと向き合う。お腹の皮をできるだけ背中まで近づけて、深く呼吸をしている自分がいる。
  そういえば2年前の夏、千葉県匝瑳の田んぼの脇で、炎天下の除草作業でほぼ脱水症状手前の体調で、地面に寝転がって以来のことだとふいに思い出した。


  誰が、どう禁じているわけでもない。それでも人が地面に寝転がることがなくなるのは、なぜだろう。こんなに気持ちいいのに。空をゆったりと進む雲の動きに、自分の呼吸を合わせてみれば、心の奥のほうまでしんとするのに。


  板橋のフルマラソンまで2週間前で、今更何をどう練習しても大差ない。そんなことはわかっているけれど、先週の30キロで5分近く自己記録を更新したので、調子にのって、下りの坂道走りで前側の大腿筋肉を痛めつける練習をしに、久々に皇居に行ってきた。


  本で読んだ、2周目は1周目より1分、3周目は1分半早く走るトレーニングも試してみたが、3周目がけっこうキツイ。まだ余力があったので4周目にも挑戦。本人としては3周目よりハイペースのつもりだったが、2分30秒も遅かった。かっちょわりぃぃぃ。


  それでも竹橋の国立近代美術館前からの坂道をコツコツ上って半蔵門前で一気に眼下にひらける展望と、皇居の緑とお濠を左に見ながら、日差しと風を頬に感じて駆け下りていく気持ち良さったら、ホントに堪らない。