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初春に一句

初春に 白髪光らせ とぼとぼと 老婆の丸く 強き背を追う

冬をもっと寒くする

晴れた夜空にきれいな満月が浮かんでる まだ小学校の校舎には灯りがちらほらついていて すっかり葉を落した公園の木々の枝ぶりが 冬をもっと寒くする。ハァーハァーという音と白い息を吐いてるオレ 40歳過ぎても、けっこう走れるじゃんオレ 4車線道路のエ…

アドレナリン

テレビを観ながら、ジムのランニング・マシーンで走っていた。 「人間が体内で作り出せるドラッグ、アドレナリン」−身長190センチは裕にありそうな背広姿の黒人司会者が、テレビでそう喋り始めた。 「そのアドレナリンを求めて、いろいろなスポーツに取り…

『カッコ悪い大人たちへ〜元ニートからの反論』

明日5日発売の月刊誌『潮』4月号にて、ぼくが書いた記事が10P掲載されています。原題は上記のものですが、電車の中吊りでは「ルポ五二万人の「ニート」が突きつける“現実”」となっています。 関心がおありの方は、最寄の書店ででも立ち読みして、ご感想…

庭で泣く(2)京都・東福寺方丈庭園

大阪出張の仕事を素早く片付けて、一路京都へ。目指すは東福寺の方丈庭園だった。方丈庭園の説明ははぶく(黄緑色の部分をクリックしてほしい)。ちなみに方丈とは、住職の居室のこと。 冬の京都の平日は閑散としていて、庭園を見呆けるには好都合だ。青空を…

はねる心

あっ。思わず声をあげてしまった。小さな門をくぐると、大きな銀杏の大木の並木道がおよそ30mまっすぐにのびていた。青山通りから神宮外苑に入るところにある銀杏並木ほどの太くて高い並木が、幅わずか4mの小道の両脇にずらっとならんでいる。杉並区荻窪3…

身体がズレる

「ほーっ、見るからに右足の方が長いね」 治療台にあお向けになったぼくを見て、整骨院の先生はいった。 「えっ、そんなパッと見で明らかなんですか」 「最近、歩いてないでしょう」 「あっ、はい、寒くなってくると、どうも億劫になってきて・・・」 そう弁…

3つの「小さい秋」

相手の急用のため、新宿で昼間ぽっかりと時間があいた。夕方から打ち合わせが2件あり、自宅にもどるのも億劫で、ふいに新宿御苑にむかった。ちょうど、取材前に読んでおきたい本を買ったばかりだったので、1時間半ほど、御苑で日向ぼっこでもしながら読ん…

『庭で泣く』(第一話)京都・大徳寺竜源院「竜吟庭」〜「ただただ、己が恥ずかしい」

さっき、BSハイビジョンで、明治を代表する作庭家・七代目小川治兵衛(じへい)の生き様と、その庭を紹介する番組を観た。琵琶湖を模した池を配した京都東山の洛翠(らくすい)のミニマリズムなど、山縣有朋ら明治のリーダーたちのスポンサードを受けなが…

キュッキュ(第1話)

キュッキュ キュキュキュッ キュッキュ 左の耳元で小さく鳴る。二日前からだ。テレビやMDステレオの高い音や大きい音に反応して、その音の残響音みたいなのが耳元で小さく鳴りだした。ためしに、目の前50センチほどの距離から、奥さんに少し大きな声でしゃべ…