2014-01-01から1年間の記事一覧

「ジャブは嫌?」〜原悦子『初恋パンチはストレート』

「ジャブは嫌 初恋パンチはストレート わたしのハートはあなたのラブ・セコンド」 女性アイドル歌手みたいな声質で、一節も歌わず、こんな歌詞をひたすら語るレコードに友人Sと顔を見合わせ、ほぼ同時に苦笑した。また、この店でやられてしまった。 これぞ、…

「絆」のアキレス腱〜山田太一脚本TVドラマ『時は立ちどまらない』

さんざん物語られ尽くしたかにも見える東日本大震災。それを被災地にいて、まったく被災しなかった家族に視点をおいて描くという着想がまず秀逸。被災した家族との時にぎくしゃくとしてきしみ、また、時にひりひりする感情のぶつかり合いと、吐き出すあての…

誰にも奪われない力〜河原理子著『フランクル「夜と霧」への旅』

毎朝起きると洗顔、つづいて布団のうえでストレッチをしてから、ベランダに出る。座禅を組み丹田で深く呼吸しながら、まず母の顔を思い浮かべる。お湯を沸かしお茶を入れて小鉢に分け、お茶好きだった母の写真の前において、おはようと声をかける。 あるいは…

はだかの若大将〜『粉飾の「ヒーロー」堀江貴文 彼がいまだにわかっていないこと』ライブドア株主被害弁護団著(インシデンツ)

日本人は”ヒーロー”好きだなぁと、出所後のホリエモンをめぐる報道などを尻目に思っていた。出所後の彼の著書で、なぜかヒット中の『ゼロ』をアマゾンで検索すると、読者レヴューには、ざっと見た限りでは、「粉飾決算」の文字がなかなか見つからない。もし…

マラソンの要素を4分割する〜岩本能史著『違う自分になれ!ウルトラマラソンの方程式』(講談社)

朝から降り続く雪を時折見ながら、今日は原稿をちんたらちんたら終日書いていた。その休憩時間に残りを読み切ったのがこの本。 米国カリフォルニア州を舞台にした全長217kmを60時間以内(2010年当時)で走るウルトラマラソン「バッドウォーター」に合計…

いい文章への尻尾

ひょんなことから、ある歌会を見学させていただく機会をえた。歌会とは、自作の短歌を持ち寄り、批評する集まりのこと。そこで最近、最愛のご主人が老人施設に入所されることになった、女性の歌に触れることができた。 入所わずか2日目なのに、ご主人に会い…

ハングンマル〜言葉は根雪みたいに降りつもる

「クゴ、ピンゲ ジ(それって言い訳だろ)」 なつかしい友人相手に思わず口をついて出た言葉にハッとして、「ピンゲ」が「言い訳」を意味する韓国語であることをぼくははっきりと思い出した。おそらくソウルで暮していた、まさに30年近く前以来、自分の口…

ふいの温かな右手〜 久保田五十一さん(70歳)の引退報道に

「荒川さんの期待に添えなくて申し訳ないんですが、私は趣味で狩猟をやるんですよ。鳥もふくめて、山の動物たちは人間が近寄れない境界線をじつによく知っていて、そこを越えて近づける体力が欠かせない。できれば狩猟は70歳までつづけたいと思っているん…

国立競技場ラストラン〜新宿シティハーフマラソン

Run

神宮外苑の周回コースから国立競技場に入ると、観客席が目に入り、心なしか歓声も耳にしながら、薄いレンガ色のトラックをゴールに向かって全力で駆ける。この、ちょっぴりアスリート気分が味わえるのが最大の魅力。他のマラソン大会ではなかなか味わえない…

たかじん追悼

youtubeで検索すると、昔見た、たかじんのテレビ番組が出てきた。おまけに、ゲストには、ばんばひろふみと谷村新司がいて、中学の頃から大好きだったラジオ番組「ヤンタン」の女性立ち入り禁止コーナーの話にも笑えた。そう、笑いながら合掌したい。「やっぱ…