日誌

被爆ピアノ

目を閉じて聴き入る人、ステージ上のそのピアノを凝視する人たちがいた。演奏が終わると、その静まり返っていた客席から、強く弾けるように拍手が鳴りひびいた。白髪頭が目立つ聴衆の中には、ハンカチで目頭を押さえる人もちらほらと目に付いた。 ピアノの音…

ひさびさの野球観戦

原稿書きをひと休みして、連休最後の本日はプロ野球観戦。数年前、巨人ファンの義母さんを、神宮のヤクルト・巨人戦にお連れして以来だ。でも、今回はプライベイトではなく、これも仕事の一貫。ふふふ、神出鬼没な商売でしょう? この写真を見て、どこの球場…

ライラック酔い

冬の間、そのコンテナは、まさに枯れ木も山のにぎわいといった趣きです。生命感のかけらもない。それが毎年3月中旬から下旬にかけて突然、枯れ切った枝々から小さな緑葉が噴き出します。それは本当に小さな春の噴水のようです。うちの奥さんは、それを緑の…

さくら水盆

先週、神田川ぞいに花見に出かけた。その帰り道でひろってきた花びらを水盆にしていたら、きれいなピンク色に染まりだした。線香花火の最後に、ぷるぷるふるえる火球をおもう。 あきらめて ちったはなびら あからめて

野球の醍醐味

生まれて初めて見た、内川のレフトゴロアウトのス―パ―プレイに痺れた!解説者がギャンブルプレーと語っていたが、内川の気迫がテレビ画面いっぱいに充満した。あの後、クローズアップされた内川の形相は、まさに鬼気迫ってたし。 もうひとつは、10回表の決…

WBC日韓戦の雌雄が決した瞬間

審判のストライクアウトの判定に、打席で切れた城島が、バットを打席に捨ておいて背中を向けた。審判が彼の背中ごしに退場を命じる。 7回表のあの瞬間、すでに勝敗は決していた。 その一打席で三振したことと、チームが正捕手を失うことの痛出と、それが明…

WBC第二ラウンド、日本がキューバに6対0の完封勝利

目がさめたら、まさに放送開始の午前4時45分。目覚ましは6時にセットしていたのに。 これは神様が観ろといってるんだなと、布団の中でぼんやりテレビ観戦。敵失もふくめて先制、追加点と理想的な展開。ここから目がさえてきたので、お味噌汁つくりへ。昆…

パパ強し!

毎朝4時45分に起きていると聞いて、驚いた。 およそ1年ぶりで再会して、夕食を共にした友人の話。彼のところは共働きで、保育園に息子さんを送るのが彼、出迎えが奥さんと分担しているためらしい。 そのくせ、週末の1日は、かなりハードに泳いでもいる…

先達のことば(2)〜60代女性経営者にシビれる

毎年、バレンタインデーにチョコレートを贈っていただいている方とランチ。新聞には出ない金融業界事情をうかがいたくて、お願いした。少し早いホワイトデーで、和久傳のれんこん菓子「西湖」を持参。 パリの大学に留学経験があり、今もパリと東京を行き来し…

先達のことば(1)〜「差が出る年代」

当日、お邪魔して四方山話を聴かせていただいた、ある企業の70代の方から、その夜、メールをいただいた。 昔、「会社生活は45歳までは一列横隊。45歳を過ぎると差が出るし、つけられる。その差も45歳までに何をやったかによる」ということを感じ、ま…

東京新聞❤(ラブ)続編 

左隣の評論で、内山節氏はこう書く。 「昨年の世界的な経済危機の露呈以降気づいたことは、私たちの社会が劣化してきている現実だった」 そう書いた上で、以前は機能していた「親戚」、あるいは「無尽」や「講」といった、地縁や血縁のセーフティネットの衰…

東京新聞❤(ラブ)!〜新聞を読まない人は、社会の行間に興味がない?

「最近の大学生は、ほとんど新聞読んでないんだよ。もう信じられない」 ある大学で教えていらっしゃる知人が、以前、こう嘆かれていた。テレビやネットのニュースでじゅうぶん。興味があれば、ググるからってことなんだろうか。その方が情報収集も簡単だし、…

続「東銀座 えすとカレー閉店」

「えすとカレー 閉店」でググッてみると、その閉店を惜しむ、たくさんの声を目の当たりにした。すごいなぁ、こんなに多くの人たちから愛されるお店を創りあげた友人への畏敬の念が、あらためて沸き起こってくる。 そして自問する。おれの仕事は、誰に、どう…

東銀座 えすとカレー閉店

友人からの転送メールで知らされた。共通の友人が、経営する人気カレー店を閉店していた、しかも昨年10月末にだ。その詳細はわからない。「いったん卒業しました」と、その友人のメールにはつづられていた。 いろんな想いが沸き起こってきたし、今もあれこ…

今年のテーマは「ゆっくり」

ゆっくり息を吐いて ゆっくりとしゃべる ゆっくり歩いて ゆっくりと考える でも、整理と原稿はテキパキ早く!

挑戦(ロックンロール)〜ジュリー祭り in 東京ドーム

野球なら、ぼくは王より長嶋が好きだった。 たしか、王選手は3割30本塁打をクリアして現役を引退したはずだ。一方の長嶋さんの最後のシーズン(1974年)は、打率2割4分4厘で、本塁打は15本(ウィキベディア調べ)。カーブを投げられると、面白い…

マルタ・デ・ラ・ビジャ公演(江東区区民センター)〜おつかれさま

一生懸命な顔つきは、誰でもかっこいい。 奥さんのそんな表情を、舞台下から見るのも貴重。なにかしら、目を逸らしたくなるような照れ臭さ、あるいは、父兄参観の父親の不安めいたドキドキ感。ガンバレヨとひと声かけたくなる衝動とか、こういう踊りを繰り返…

ピンチの後にチャンスあり〜クラブW杯決勝

勝負の綾は繊細だ。 ビディッチの肘撃ち一発退場で、10人での戦いを強いられて守勢に回ったマンU。1人多い状況で攻めだした堅守のキト。潮目が変わってから、ゲームが動く。前半、何本ものシュートを打ちながら、キトの守護神に阻まれていたマンUは、ロナ…

最良の教師

まさに苦笑いだった。取材から自宅に戻り、熱いお茶を1杯飲んで身体を温めてから、ひさしぶりに補強運動をやった。ところが、まるでできなかった。とりわけ背筋運動が駄目。先月末から結婚式、地方出張とバタバタしていてその間、ジョギングは2回こなした…

形見分けの月

「オレの、オレの話を聞けぇぇ〜♪」 友人Mが腰をくねらせながら、クレイジーケンバンドを歌い、店内の笑いをさらう。「歌う」より、「がなる」といった方が近い。亡き友人の父親も、「ずいぶん、やるねぇ」とニヤニヤしながら水割りを口に運ぶ。 横須賀にあ…

人を旅すること

2泊3日で、東海地方に出張してきた。 体力的にはきつかったが、仕事だけにとどまらず、45歳の男としても、いくつか考えさせられた濃い旅だった。 街ですれ違えば、何ら気を留めることなく、通り過ぎてしまうだろう人たち。 だが、取材者として向き合い、…

明治記念館潜入記〜貫禄じゅうぶんな新婦とボクちゃん新郎

大学時代の友人の結婚式で、明治記念館に初めて足を踏み入れた。これで、大学の友人関連は全員片付いたことになる。めでたしめでたし。 しかし、予想に反して、記念館はえらい賑わいぶりだった。式の参加者はもちろん、打ち合わせスペースもカップルで満席。…

江ノ島がぁ見え〜てきたぁ 

なぜか革靴にジャージ姿で走りながら、坂を下ると大きな海原が目の前にひろがる。朝7時すぎ、海岸ぞいに向かって左折すると、小さな島が目に飛び込んできた。 「江ノ島がぁ〜、見え〜てきたぁ〜♪」 とっさにサザンの歌が頭の中でリフレインする。こんなに海…

グッドデザイン賞拝見〜ヌースフィア遺伝子への脚光

どうですか? この山小屋と長屋を足して2で割ったようなパテーション!それでいて、一見無駄っぽいデザインを、150㎡の室内空間と個別空間(隙間だらけの山小屋空間)の繋ぎ役として見事に機能させている。同時に、打ち合わせ空間と作業空間との、間仕切…

ラテン大阪人への誇り

テレビ番組の中で、大阪府民のボケツッコミ・パワーが検証されていた。 たとえば、「これ、新しい髭剃り器です」と、コショウの瓶を手渡された際、大阪人がどんなリアクションを見せるのか、という趣向。場所は難波・道頓堀周辺。 もちろん、テレビ局側の狙…

人間国宝の「一生懸命」〜四世中村雀右衛門の米寿祝賀パーティ

「米寿を迎えて」と題する、雀右衛門さんの文章がある。 その中で、もっとも目を引くのは以下の部分。 「女形は、六十にならなければ物にならないよ」といわれ、気が遠くなるような思いをしたのを覚えております。しかし、本当には「やっと物になったかと思…

韓国チ―ム、優勝おめでとう!

強打のキューバを相手に、今日の韓国は投手をはじめ素晴らしかった。 9回裏、韓国チ―ムの捕手が退場処分となるアクシデントで、1アウト満塁というしびれるピンチもしのいで、あのキューバに勝ったことに価値がある。ぼくにとっては、青春の1年間を過ごし…

北京五輪野球、米国に完敗〜がんばる女、勝てない男

チューブトレーニングで両脚のすねを鍛えながら、あるいは、今週の新聞記事を切り抜きながら、日本対米国のゲームを観ていた。残念な敗戦だった。個人的に感じることはいろいろあるが、日本チームの脆(もろ)さ、打たれ弱さは、ぼく自身にもある。そういう…

広島でのこと(3)〜忘却せざるをえなかったこと

もらい泣きした。想像を絶する惨状に直面したとき、人間はどこかで壊れるのだろう。いや、少し壊れないと、それから生きていけない、そんな弱さを抱えた生き物と言った方がいいかもしれない。 初めて観た広島平和記念資料館は、予想通り、見れば見るほど心身…

広島でのこと(2)〜手を合わせる人、ゴミを拾う人

朝5時半起床で、曇り空の広島平和記念公園内外をジョグ。公園ぞいを流れる元安川は、土の歩道もあって足にやさしい。ジョギングやウォーキングの人たちともすれ違う。イサム・ノグチが設計した、平和公園にかかる橋(右上写真)を初めて見た。どこか宇宙っ…