2004-01-01から1年間の記事一覧

エラ・フィッツジェラルド『ライク・サムワン・イン・ラブ』〜すべてはつながっている

CD

朝からずっとエラ・フィッツジェラルドのCD『ライク・サムワン・イン・ラブ』を聴いていた。くすんだ山吹色のバックに、エラの左の横顔がモノクロで載っていて、ジャケ写買いした一枚だが「当たり」のバラード集だった。 切ない別れの物語を、柔らかで懐深…

新潟中越地震情報

web

田口ランディさんのBlog経由で、地震関連情報のwebサイトと、新潟市在住の方のリアルなBlogを見つけました。関心のある方はリンクをはってください。被災された皆さんが、一日も早く普段の生活に戻れるようにお祈りします。ささやかですが、ぼくはまず、はて…

冬へ近づく句

曇天に 胸ふくらませ 寒椿 咲かんとす そのいしこそが うつくしき / リュウオキナ

久田恵『フィリピーナを愛した男たち』文藝春秋刊〜騙(だま)し船みたいな現実の醍醐味

ぼくの視野は狭くて頼りない。さらに始末が悪いのは、その自覚に欠けることだ。いろんな人に会って話を聞くのが仕事だから、普通の人よりは間口が広くて、考え方にも柔軟性があると、どうやら無意識に思い込んでいるふしがある。我ながら始末が悪い。むしろ…

胃癌手術報告に見る松岡正剛さんの作家魂〜『千夜千冊』番外編

web

松岡さんが胃癌で入院されたのは知っていた。でも、その後の動静はニュースにはならなかったので、まだ入院中なのだと思っていた。それでふいに、右アンテナの『千夜千冊』をクリックしたら、番外編として胃癌手術報告がアップされていた。 驚くほど詳細な手…

シンクロニシティを逃すな!

人間って面白いなぁ。しみじみそう思うことも、取材のひとつの醍醐味である。この日の取材でも、いい言葉を聞いた。シンクロニシティー。 そもそも、あのユングが発語した言葉で「共時性原理」と訳される。それが意味するところはかなり多岐にわたるらしい。…

自分の顔に責任を持とう

ある打ち合わせを終えて、同じライター稼業のA君と雑談。 「ぼく、原稿書いているときに辛いと思ったことが一度もないんですよ。そういう意味ではそういう仕事につけたことを、すごく幸せに思っています。最近まで、物書きを生業にしている人は、みんなそう…

笹沼五郎商店の「わらっと納豆」はうまい

水戸の先、茨城県大洗まで取材に出かけた。夕方時間があったので、偕楽園でもぶら〜っとしようかと前日には思っていたのだけれど、あいにく朝から雨模様。 しかたなく、JR水戸駅まで戻ってきて、駅に隣接するSCで、お土産にと藁に入った「わらっと納豆」…

震災10年の神戸から「日本」を見抜く〜作家・高村薫さんの言葉:神戸新聞web「震災10年」特集から

内角高めのギリギリに快速球を決められ、身動きすらとれずに三振した9番バッターみたいな気持ちになった。 「真剣に考え出したらどうしようもないから、考えない」 「考えていたら生きていけないから、目をそらす」 この社会にも、僕の心にも、なんともあか…

奥田民生の歌声にグッとくる〜フジテレビ『僕らの音楽』

LIVE Beautiful Songsアーティスト: オムニバス,鈴木慶一,奥田民生,宮沢和史,大貫妙子,矢野顕子,白井良明,ステファン・ドゥポント出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン発売日: 2000/10/18メディア: CD クリック: 10回この商品を含むブログ (52件) を…

「不幸」の只中から、しあわせをつかみとること

言葉ってやつはホント不思議で面白れぇなぁ〜。新聞だろうが、本だろうが要は印刷された字なのに、そこに書かれた内容によってペラペラに見えたり、はかり知れない奥行きを感じさせたりするから。 近くの図書館で東京新聞をめくっていて、久々に唸(うな)ら…

ハイテクとローテクと「ラムネ氏のこと」

光触媒の取材に行って来た。すごいハイテクを支えたローテクという話なんだ。 酸化チタンに光を当てると、太陽光線に含まれる数パーセントの紫外線に反応して、活性酵素を発生させる。これが人体に悪影響をあたえる有機物や雑菌を分解したり、水となじみやす…

原子力行政の正体〜『世界』11月号の大泉実成さんの記事から見えてくるもの

都内での打ち合わせを終えて、自宅近くの図書館に立ち寄り。月刊誌『世界』をパラパラめくっていて、大泉さんの書いた記事が目にとまった。5年前、茨城県東海村で起きたJCOの臨界事故についてのものだ。大泉さんのお母さんが同村に住まれていて、事故発生後…

奥野安彦さん一家「タイでの3年間に向けて」出発祝いパーティー

写真家の奥野さん一家が、タイのチェンマイにむけて今月17日に離日される。奥さんはジャーナリストの佐保美恵子さん。新生活への出発を祝うパーティーに、夫婦で参加した。気心の知れた人たちが集った、楽しいものだった。 ぼくが25歳で上京したときに、…

勅使河原蒼風『樹獣』〜テレビ東京『美の巨人たち』〜命を活(い)けるという着想の軌跡

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す、すっげぇ・・・、すごすぎる。何気なく観た番組に、心も身体もわし掴みにされた、振り回された、踏みしだかれた。岡本太郎さんじゃないけど、それこそ爆発する芸術だ。前衛華道「草月流」の創始者・勅使河原蒼風。 戦局が悪化して花を活けられなくなり、…

激論!<「ニート」meets ひきこもり>YMCAアジア青少年センター

最近、マスコミで取り上げられている「ニート(NEET)」という言葉がある。学校に通うわけでもなく、職に就こうとするわけでもなく、技能習得のために訓練をうけているわけでもない、15歳から34歳までの無業の若者たちのこと。9月に厚生労働白書で発表…

『SPA!』編集長とベルギービールの夜

田町「ヌースフィア」で、週刊『SPA!』のA編集長と久しぶりに再会、夕食をとる。ぼくは27歳から33歳まで『SPA!』の取材記者として働いていて、3歳下の彼とは、一緒に取材したり、合コンやったりしていた。 不規則な生活なのにもかかわらず、彼はフルマラソ…

<情報のカロリーオフ>という切り口

グサッと胸を刺されたような・・・、いやいや、ズバッと背中を袈裟(けさ)斬りされたような、そんな気持ちになった。右アンテナの「ほぼ日」で糸井重里さんの最新コラム「情報ダイエット」を読んでいての話。 高度成長期は、高カロリーな食べ物がステイタス…

武器輸出三原則の見直しは、経団連の政治献金解禁とリンクしている

NHK地上波の夜10時のニュースを見ていたら、武器輸出解禁をめぐる動きを伝えるニュースをやっていた。なんでも次世代のミサイル防衛用迎撃ミサイルの日米共同開発、生産を考えれば、武器輸出禁止の三原則を改正しないと、本格化できないという理由らしい。…

秋雨と宇野千代と勇気

原稿書きがひと段落して、夕方に筋トレを一時間やってから、風呂につかってフンニャリする。風呂から上がると、筋トレのせいで、いつものように甘いものが欲しくなり、ヨーグルトにイチゴジャムをたっぷり入れてかきこむ。もう窓の向こうは真っ暗で、なお雨…

麻布十番「登龍」の坦坦麺と市川染五郎

午前中に取材の打ち合わせを終えて、正午前、麻布十番で奥さんと待ち合わせて中華料理の「登龍」へ。彼女が大好きな、この店の四川麺(坦坦麺・右上写真)を召し上がっていただくためだ(^^;)。 六本木ヒルズ側から麻布十番に歩いてきたオレは、この店の…

瞬時もしくは一方的コミュニケーションと、骨の折れるコミュニケーション

ある駅前で待ち合わせたG君は、2週間前とはまるで別人だった。肩辺りまでだらしなく伸びていた黒い髪は、短くこざっぱりと刈り込まれ、きれいに茶髪に染められたいた。 ある地方都市の下宿で会ったときの着古した白のTシャツと濃紺のジャージの、まるで精気…

NHK-BS2「夜更かしライブ缶」Slow Music Slow Live〜久しぶりの吉田美奈子

河合代介の、時にファンキーで時に荘厳なオルガンの旋律。それに触発されるように、吉田美奈子の歌声が池上本願寺の境内に、その夜空に客席に放たれていく。ラスベガスで見た光と水の壮麗なショーを彷彿とさせる、それは奔放自在な音の噴水みたいだった。 と…

『青山二郎全文集(上)』ちくま学芸文庫

以前、ゴッホの絵の前で動けなくなった。パリのオルセー美術館での出来事だ。それは彼が好んで書いた自画像のひとつで、彼が亡くなる前年の1889年、36歳で書いた自画像だということは、後で知った。青白い顔に、金髪のあごひげをたくわえたもので、中…

「刑務所にぶ、ぶち込まれた!?」NHK-BS1午前中の海外ニュースってお茶目

実に出し抜けだった。先日、NHK-BS1で、午前9時からの「ワールドニュースアワー」を、朝食を食べながら観ていたときのことだ。ちょうど、フランスの放送局の最新ニュースを、日本語で同時通訳していた。子供の虐待容疑で両親が刑務所に収監されたと伝えるく…

チェーホフ劇「三人姉妹」をビデオ鑑賞〜しゃべればしゃべるほど希薄になる言葉

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先々週、NHK-BSで深夜放送されたチェーホフの『三人姉妹』をようやく観た。原田美枝子や荻野目慶子といったキャスティングに惹かれたからだ。 ソビエト時代の没落貴族の三人姉妹が、両親の死後、現実にまみれながら、不本意な教師生活や結婚生活などに疲れ、…

筑紫みずえさんと田町「ヌース」で

取材をきっかけに、かわいがっていただいている筑紫みずえさんに、田町「ヌース」にご来店いただいた。日興證券に働きかけて、日本初のエコファンドを発売した女性で、現在、投資顧問会社「グッドバンカー」社長だ。てっきり、同じ会社の社員の方々がいらっ…

アメリカ大統領選挙のもうひとつの視点「演説の文体ってどうよ?」

今朝の日経ビジネス・エキスプレス(日経ビジネス定期購読者にかぎり無料配信のメルマガ)で、谷口智彦編集委員がユニークな分析をしている。アメリカ大統領候補の演説の文体分析だ。 ブッシュのそれは、短文構成で、スタッカート調でたたみ掛けて、聴衆の耳…

祝!神山典士さんwebサイト、ド派手に完成

先輩ライター、神山さんのwebサイトが完成したとメールがきた。さっそくトップページを見て、そのド迫力に思わずウケてしまった。スゲェ〜、スゴスギ〜! フェラーリ・カラーを彷彿とさせる深紅の画面、その只中に小さく浮き上げる、モノクロの本人の顔のコ…

部屋をふきぬける秋風を感じながら、「感情を吐き出す技術」を考える

昨日はビオダンス体験をきっかけに、「自意識を脱げない」自分について書いた。今日は感情を吐き出すことについて少し書く。 今週19日の朝、NHKの番組で女優、夏木マリによる『課外授業』を観た。(この番組について関心のある人は、今月12日にも書いてい…