2008-01-01から1年間の記事一覧

藤代裕展「AO ZO RA ICHI」(11月8日〜24日・「ギャラリーnoir」静岡県伊豆の国市中750-1)

art

藤代さんから個展のお知らせが届いた。ご本人によると、「行ったことのないない場所の、青空市で見つけたものたち・・・がテーマ」だという。個展会場のブログはこちら。 会場はちょっと遠いですが、ご興味がある方はどうぞ。藤代さんのHPもご覧ください。

[Run」三日月とオレンジ色の東京タワー

内幸町から霞ヶ関のビル群が黒いシルエットになり、その上に細く黄色い三日月が浮かんだ。その右斜め上には、星ひとつが光っている。そこから少し離れた左側では、東京タワーがオレンジに発光している。 一方、皇居周辺は闇にすっぽり沈み、ぼくはその闇の中…

知的能力と実現能力 

先日、ある大学教授の方とお会いした。 「伝説のエンジニア」という異名もとった彼の話の中で、もっとも印象的だったのが、知的能力(アビリティ)と実現能力(コンピタンス)についての件(くだり)。 かつての勤務先で、東大の機械科大学院卒の若手に、ひ…

ことばウオッチ〜より強靭なリアリティの在り処

永作博美さんが対談番組に出ていて、「その役を守ってあげられるのは私だけだから」と口にした。極端な役柄に、人間らしさを吹き込む想いを語った言葉。 ぼくの書く言葉は、と考えてみる。それは往々にして登場人物たちに近寄りすぎる。もっと突き放すことで…

黒沢清『トウキョウソナタ』 

絵コンテのような画面が雑然とつづく。そんな印象のまま、映画が終わってしまった。恵比寿で、映画『トウキョウソナタ』。 黒沢映画を観るのは、はじめてなのだが、どれもこういうテンポなのだろうか。編集も意図的なのかもしれない。東京のある家族を掘り下…

人生初の3時間走〜ちゃんと遊びたい!

RUN

3連休があっと言う間に終わった。 芝居ひとつ観た以外は、原稿書きばっか。うん、わかってる。仕事が遅いせいだ。 結局、最終日の午後4時すぎから、ゆっくりペースで3時間走。LSD(「ロング・スロー・ディスタンス」の略。あぶない薬ではない)という…

ARICA公演「キオスク・リストラ」〜反復の牢獄からどう抜け出すか

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人生を凝縮する、その鮮烈な作法。10数年前、故・太田省吾の演出する舞台をはじめて見たとき、ぼくはそれに圧倒された。芝居が始まる前から、すでに圧倒されていた。だって、剥き出しの座椅子式便器と浴槽とダイニングテーブル、そしてソファ。白一色で統…

グッドデザイン賞拝見〜ヌースフィア遺伝子への脚光

どうですか? この山小屋と長屋を足して2で割ったようなパテーション!それでいて、一見無駄っぽいデザインを、150㎡の室内空間と個別空間(隙間だらけの山小屋空間)の繋ぎ役として見事に機能させている。同時に、打ち合わせ空間と作業空間との、間仕切…

皇居周回20キロ完走〜スポーツの秋を満喫

Run

結果はともかく、じつに真っ当にスポーツの秋を満喫した。 走り出す前は、強い日差しが気になった。東京駅側から地下鉄の竹橋駅までは直射日光をうけたが、国立近代美術館から、半蔵門から皇居へのアップダウンは、街路樹の木陰で涼しく助かった。というより…

K-1ミドル級・魔娑斗の折れない心

TV

心を折る、という表現と初めて接したのは、故・井田真木子さんの名著プロレス少女伝説 (文春文庫)(大宅壮一ノンフィクション大賞)。神取忍とジャッキー佐藤戦での場面だった。 仕事から帰って、そそくさと夕食を済まし、何気なくテレビをつけたら、魔娑斗…

姜尚中(カン・サンジュン)VS太田の刺激的対話〜NHK「爆笑問題のニッポンの教養」

今夜の『ニッポンの教養』は濃かった。できれば2回連続で放送してほしいぐらい。 姜さんが「(秋葉原事件を起こした)彼はみんなとつながりたかったけど、見ず知らずの人を殺すという形でしか、おそらく、つながれなかったんだと思う」というニュアンスのこ…

国産大豆の甘みにニンマリ〜池袋西口・大桃豆腐

先日、池袋駅西口でオーガニック居酒屋を営む高坂さんと再会。その店名も「たまにはTSUKIでも眺めましょう」。雑談の後、彼に連れて行かれたのが大桃豆腐さん。国産大豆にこだわりつつ、リーズナブルな豆腐づくりをしているという。開店前の高坂さんの…

カボチャの天使の甘み〜食欲の秋がやってきた(1)

口にふくむと、実がとろけていく食感と上品な甘みが広がる。 まさに天使の甘み!カボチャ煮がうまくできたときは、そんな気持ちに満たされる。いい文章が書けたときと同じか、それ以上の充実感。「おれって、もしかして料理の天才!」、そんな錯覚の大海にぽ…

ラテン大阪人への誇り

テレビ番組の中で、大阪府民のボケツッコミ・パワーが検証されていた。 たとえば、「これ、新しい髭剃り器です」と、コショウの瓶を手渡された際、大阪人がどんなリアクションを見せるのか、という趣向。場所は難波・道頓堀周辺。 もちろん、テレビ局側の狙…

川端康成『夜のさいころ』〜息を吸ってはくように書かれた文章

まるで息を吸ってはくように書かれた文章だな。 『愛する人達』に入っている、川端さんの『夜のさいころ』という短編を深夜に書き写していて、ふいにそう思った。そう感じただけのことだが、おそらく間違っちゃいない。ちょっと呆然とした。いつまでも細かく…

犬童一心監督『グーグーだって猫である』〜それぞれ孤独だからつながれる

かっこ良く老けてやるぜって思ってる。 立ち読みした雑誌に載っていた小泉今日子の、そんな言葉にドキッとさせられた。その前文で、自分が結婚には向いていないことがよくわかった、そう明言した上で出た言葉だったから。 この映画の中でも、キョンキョンが…

きみのしはひかり

おれはめあきのめくら なにげないよろこびや ふいにやどるせつなさを よくみのがしてしまう きみのしはひかり みすごしてばかりいる ありふれたもののかがやきを つまらないからこそのいとおしさを それはあざやかなてつきで うつしだしてくれる おれはめあ…

皇居ラン20Kでシーズンイン

Run

長らくお休みしてました。デスクトップ故障・修理中のためです。 ノートでつなぐと、なぜかADSLではなく電話回線モードになるわ、WEBメールでしかメールチェックできないわ、ブログ更新はできないわ。あれこれありました。また、ボチボチ再開しますので…

北京五輪情報への引きこもり〜愛ラブ❤東京新聞

渋い!思わず、そう唸った。 「朝日、毎日、読売の全国紙三紙の8月15日朝刊一面から『きょう63回目の終戦記念日』の記事がそろって消えていた。紙面のほとんどは、北京オリンピック関連の記事で埋め尽くされていた」 26日東京新聞夕刊11面の匿名記…

人間国宝の「一生懸命」〜四世中村雀右衛門の米寿祝賀パーティ

「米寿を迎えて」と題する、雀右衛門さんの文章がある。 その中で、もっとも目を引くのは以下の部分。 「女形は、六十にならなければ物にならないよ」といわれ、気が遠くなるような思いをしたのを覚えております。しかし、本当には「やっと物になったかと思…

韓国チ―ム、優勝おめでとう!

強打のキューバを相手に、今日の韓国は投手をはじめ素晴らしかった。 9回裏、韓国チ―ムの捕手が退場処分となるアクシデントで、1アウト満塁というしびれるピンチもしのいで、あのキューバに勝ったことに価値がある。ぼくにとっては、青春の1年間を過ごし…

北京五輪野球、米国に完敗〜がんばる女、勝てない男

チューブトレーニングで両脚のすねを鍛えながら、あるいは、今週の新聞記事を切り抜きながら、日本対米国のゲームを観ていた。残念な敗戦だった。個人的に感じることはいろいろあるが、日本チームの脆(もろ)さ、打たれ弱さは、ぼく自身にもある。そういう…

広島でのこと(3)〜忘却せざるをえなかったこと

もらい泣きした。想像を絶する惨状に直面したとき、人間はどこかで壊れるのだろう。いや、少し壊れないと、それから生きていけない、そんな弱さを抱えた生き物と言った方がいいかもしれない。 初めて観た広島平和記念資料館は、予想通り、見れば見るほど心身…

広島でのこと(2)〜手を合わせる人、ゴミを拾う人

朝5時半起床で、曇り空の広島平和記念公園内外をジョグ。公園ぞいを流れる元安川は、土の歩道もあって足にやさしい。ジョギングやウォーキングの人たちともすれ違う。イサム・ノグチが設計した、平和公園にかかる橋(右上写真)を初めて見た。どこか宇宙っ…

広島でのこと(1)〜みっちゃんのお好み焼きソース

偶然、友人が広島取材に出かけていたことを知り、美味しいお店を訊いて教えてもらったのが、お好み焼きの「みっちゃん」。じつに庶民的な名前が気に入った。ちょうど広島駅の新幹線口の食堂街にあったので、肉・卵・うどん入り780円を試しに注文。 酸味が…

川端康成『愛する人達』(2)〜負けて勝つ小説

負ける建築、という言葉を使っているのは隈研吾さんだ。 いたずらな建築家の自己主張より、建築物をとりまく諸条件との調和をこそ重視する「受動性」の喩(たと)えとして使われている。 上記の川端作品の中で、ぼくがグッときた『母の初恋』と『ほくろの手…

川端康成『愛する人達』〜静謐なる成熟(1)

ある年齢になって初めて、堪能できる文章というものがある。 ぼくにとって、川端康成とはそういう作家の一人。谷崎のような絢爛豪華さや、三島のような豊穣な意匠も、川端さんの文章にはない。 しかし、一見何気ない、ひらがなの文章の奥に、静謐な成熟とで…

谷本歩実選手の、懐のデッカイ言葉

まず、あざやかな払い腰での一本勝ちにしびれた。押してきた相手の力を利用しての豪快な投げ技は、まさに「柔よく剛を制す」の真髄みたいな瞬間だった。 試合後のインタヴューでの、以下の彼女の言葉にはもっとしびれた。 (決勝戦の相手)デコス選手は柔道…

「ヒミング」プロジェクトの結実〜実人生とアートを重ね、一貫性を手作りする輝き

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アーティストの中村政人さんからメールが届いた。 長年取り組んでいる、アートによる地域活性化プロジェクトのひとつ、富山県氷見市の「ヒミング」の中で、地元の伝統的な船の再生を果たしたというお知らせ(以下をご参照ください)。メールを読んだときに、…

北京五輪への道〜なんとか完結しました

いよいよ、北京五輪が始まりました。そして連載も無事終了。 レスリング女子・吉田沙保里「敗戦こそ最大の良薬」陸上男子・末続慎吾「日本スタイルでの挑戦」 ご興味があれば、御笑覧ください。 レスリング女子の栄監督の「手のひらの察知力」(後編)を読む…